第1話 いやな指   芦野信司

                               久しぶりに秋江から電話があった。 「ちょっと早いけどお誕生日のプレゼントを渡したいの」という。  美由紀の誕生日は十二月三日。まだ一ヶ月以上先だ。美由紀は、次の土曜日の午後五時に、小学生の頃よく遊んだ児童公園で落ち合う約束をした。  秋江と美由紀は幼稚園からの幼なじみだった。中学になって、美由紀は地元の公立中学校へ進んだが、秋江は自由が丘にある女子大の付属中学に入学した。違う中学になってからは次第に会うこともまれになって、三年生になった今では、互いに誕生日にプレゼントを渡すときに会うくらいだった。  土曜日の午後、美由紀は自転車で図書館に行き、そこの学習コーナーで高校受験の勉強をするのが、このごろの習慣だった。コーナーの利用者は高校生と中学生がほとんどで、二十人ぐらいの人たちが黙々と机に向かっている。南側にある大きな窓からはブラインドを通して静かな秋の日が差し込んでいた。その日差しが西に傾き赤みを帯びてきたとき、美由紀は立ち上がって、参考書やノートを布のバッグにしまい込んだ。  待ち合わせの公園は、最寄り駅の大倉山へ続く道を自転車で十分ほど行ったところだ。公園に着くと、美由紀は自転車のスタンドを立て、前カゴからバッグを取り出した。秋江はまだ来ていなかった。秋江は約束の時間に少し遅れて着いた。公園に入ってから小走りに近づいてきて、美由紀が待っていたベンチの横に座った。白いブラウスにチェック柄の短いタイを結び、胸にエンブレム…

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